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2015年5月14日 (木)

能見数馬の目

能見数馬の目前を、四人の男が人を探している様子で通り過ぎて行った。数馬が何事かと訝るっていると、暫くして十七・八の町娘が、男たちが走って行った方向に歩いて行った 香港機票網。数馬は胸騒ぎがして、思わず娘に声をかけてしまった。

  「娘さん、ちょっとお待ちになって下さい」
  「わたくしですか?」
  「はい、そうです。私は占い師の能見数馬と申す者、あなたに御難の相が現れています」
 娘は、「ほほほ」と笑って、「わたくしは占いなど信じませんので」と、その場から立ち去ろうとした Beverly skin refining center脫毛
  「そうですか、それでも其方の方角に行かれるのはお止しになられたほうが…」
  「ですから、占いは信じませんと言っているではありませんか」と、ちょっと苛ついた様子であった。
  「見料など頂戴しませんから」
  「お若いお武家様、どんな魂胆かは知りませんが、少しくどくはありませんか」
 娘は、言い放った。
  「申し訳ない、気掛かりだったもので…」
 数馬は、立ち去る娘の後ろ姿を暫く目で追ったが、「自分の思い過ごしであろう」と、忘れることにした Beverly skin refining center
 日が暮れて、所用を済ませた数馬が大川橋を渡ろうとしたとき、今まさに川へ飛び込もうとしている娘の姿が目に入った。
 数馬が「お待ちなさい!」と、大声を出したのを合図のように、娘は橋から飛び降りた。数馬は後先を考えず、着物を脱ぐと川へ飛び込んでいた。泳ぎは達者だったが、川の流れが速くて苦労した。まず水に潜り、娘の足を持って頭が水面の上になるように持ち上げ、娘を仰向けにして首に左腕をまわし、右腕と足だけで何とか川岸まで泳ぎ着いた。
 娘は少し水を飲んでいたが、自分で吐き出すとケロッとした顔で言った。
  「また、昼間の占い師の方でしたか、もうわたくしのことはほっといて頂けませんか」
  「命を粗末にするのを見て、それは出来ません」
  「あなたさまの占いを信じていればこうは成らなかったと仰いたいのでしょうが、わたくしは後悔などしておりません」
  「何か有ったのですね、話して頂けませんか」
 数馬は「その前に」と断って、「取敢えず、その濡れた着物をお脱ぎになって、わたしの着物を羽織って頂けませんか?」
わたしは、暫くあちらにおりますから、と堤を指差しその方へ歩いて行った。着替えた頃合いを見て戻ると、男物の着物を着たのが余程恥ずかしいのか、それとも数馬の褌姿を見るのが恥ずかしいのか、娘は小さく屈みこんでいた。
  「娘さん、ここから二、三町行ったところに私の屋敷があります。そこで今後のことをお話ししませんか?」
  「でも、そのお姿では…」
  「わたしは男ですから平気ですよ」
 数馬は笑った。
  「わかりました。あなたさまにお任せいたします」
 娘は、すっかり頑なな態度を改め、数馬に従う覚悟を決めたようであった。
  「お譲さん、お風呂を沸かせましたから、お身を清めていらっしゃいな」
 数馬の母が、何かと客の世話をやいていた。 姉は自分の着物と襦袢などを用意して、「お風呂からお上りになりましたら、お着せ致しますから」と、姉妹ができたように突然の女性客を喜んでいるようであった。
  「娘さんは、どちらのどなたですか?」
 今まで、何も聞いていないことに気付いた数馬が娘に尋ねた。
  「下崎町の薬種問屋、蔦ノ屋の娘結衣と申します」
  「では、使用人を走らせて、無事で当家にお預かりしていることをご両親にお伝えしましょう」
  「でも、父母は心配していないと思います」
  「それは、何故ですか?」
  「父母の思い通りにならない娘ですから」
  「我が娘の安否が気にならない両親など居ましょうか」
  「わたくしを、良家に嫁がせることしか頭にない親たちですから」
  「そうですか。でも拐かされたとお思いかも知れません。一応、使いを遣ります」
  「お世話をおかけします」
 この娘は数馬に会ってから今までで、初めて礼らしい言葉を発した。

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